ストーリー1

市川社長×山川専務×黒田社長
株式会社鮑屋 市川社長、山川専務、そして株式会社UMITTOの黒田社長をお迎えし
鮑屋の歩んできた歴史や大切にしている事業の在り方、そしてこれからの未来について
じっくりと語り合っていただきました。
「鮑を運ぶ」という挑戦から、すべては始まった
市川:
私たち鮑屋の起源は、今から約438年前に遡ります。
海のない山梨に鮑を届けるため、先祖は鮮度を保つ醤油漬けに加工し、馬に背負わせて険しい山を越えて運びました。
当時は冷蔵技術もなく、命懸けの挑戦でした。
しかし「どうすれば喜んでもらえるか」という商人の誇りが、それを可能にしました。
山川:
「届けたいものがある。でも今の方法では限界がある」そのジレンマは、僕たちが今抱えている課題と通じるものがありますね。


市川:
そうなんです。伝統を守るだけではなく、挑戦し続けてきた先祖の精神を、今でも引き継いでいます。
私が家業に戻った頃、仲卸業を取り巻く環境は激変していました。特にスーパー業界の競争が激化し、これまでの大きな取引先を失うという痛手を受けました。仲卸という業態の存在価値自体が問われる中で、「このままでは鮑屋の未来はない」と強い危機感を抱きました。
黒田:
それは大きな転機でしたね。そこからどのように舵を切ったのでしょうか?
市川:
先祖が新しい道を切り拓いたように、私たちも仲卸の枠にとらわれず、製造・小売・飲食と多角化を進めることに決めました。時代の変化に適応し、価値を創り続ける挑戦が始まったのです。
「仲卸」からの脱皮──未来を見据えた挑戦
市川:
仲卸という業態は、かつては市場の要でした。
しかし、流通の高度化やテクノロジーの進化により、これまでのようなポジションがいつまで持つか。
正直、そんな危機感がずっとありました。
そこで、製造業・小売業・飲食業という三本柱で事業を展開する方向へと舵を切りました。


山川:
振り返ると、提案型営業を取り入れてから事業は大きく動きましたよね。市場で買えるものをただ卸すだけではなく、お客様と一緒に商品を作り上げていく。その積み重ねが今の成長につながっていると思います。
市川:
そうですね。専務が入ってから、提案力とスピード感が一気に高まった。そこから「六左衛門」「箱根チーズテラス」などの直営小売ブランドも立ち上げて、製造から販売まで一気通貫で価値を届けられる体制が整ってきました。
「UMITTO」が切り開く、新たな地域との関わり
黒田:
私が鮑屋さんとご一緒することになったのは、「釣り文化と地域をつなげたい」という思いを市川社長にお伝えしたのがきっかけでした。釣り場の減少やマナー問題など、地域と釣り人の関係が難しくなっていた中で、「それなら一緒にやってみよう」と。
市川:
黒田さんのように、地域課題に自分事で取り組んでいる方と一緒にやれるのは本当にありがたい。
UMITTOは今や人材紹介や魚食教育などにも挑戦してくれていて、鮑屋にとっても大切な新しい柱です。


新規事業に挑むということ──「楽しさ」が原動力
山川:
新しいことをやるって、やっぱり楽しいんですよね。
もちろん大変なことも多いけど、目の前の課題を1つ1つ超えていくのが面白い。
鮑屋には「これやりたい!」って言ったら「やってみよう!」と言ってもらえる風土があるので、挑戦しやすい環境なんです。
黒田:
本当にそうですね。私は前職が大企業だったので、「時間で働く」という感覚が強かった。
でも今は「自分で価値をつくる」っていう働き方ができる。
想像したものを、実際に形にできるってすごい楽しいです。
市川:
新しい取り組みに対して、正解なんて最初からない。でも、走りながら改善していけばいい。だからこそ、スピードと柔軟さ、そして「やってみよう」というマインドが大事なんだと思います。
鮑屋が描く未来──仲間とともに
市川:
今、「FOREVER21」という計画で、2029年度に売上200億、営業利益10億円を目指しています。でも、それはただの通過点。時代の変化に応じて、新しい会社や事業がどんどん生まれていくと思っています。
黒田:
会社って「選ばれる場所」になっていくべきだと思っています。だから、鮑屋という会社が、いろんな個性の人が活きる場所であってほしい。
山川:
人生を楽しみたい人に、ぜひ来てほしい。うちでは「何やるか」より「どう取り組むか」が大事。自分の力で何かを生み出したい人には、きっとぴったりの場所だと思います。

「想像した世界を、想像していく」
鮑屋の新事業は、挑戦する仲間とともに進化を続けている。